管理者の判断力 ラショナル・マネジャー
書名:管理者の判断力 ラショナル・マネジャー
著者:C.H.ケプナー/B.B. トリゴー
訳者:上野一郎
職場にてKT/DA法という技術の紹介を受け、原著を手に取ってみた。
KT:ケプナー・トリゴー、DA:Decision Analysisの頭文字というところまで
は知っていたので、意思決定が主題の書籍と思ってたが、
①問題分析、②決定分析、③潜在的問題分析、④状況把握の4つの領域について
取り扱った書籍だった。うち①、②の方法論は役立つと感じた。
①問題分析:どうしてそうなったか
・対象物、場所、日時、程度の4つの視点から問題を明細化する
・「IS(起こっている)」「IS NOT(起こっていない)」の違いに着目する
・違い(区別点)がいつ発生したか。一番最近の区別点は何か?
「IS」/「 IS NOT」の対比という考え方は参考になると感じた。
問題の明細化においては、専門知識を持っていない人の参加や、
正しい質問を行う能力が重要という指摘も記憶しておきたい。
②決定分析:どういう処置をとればよいか
・絶対目標(MUST) :測定可能な目標。合否の判断ができる
・希望目標(WANT):相対的な目標。重要度で重みづけ
・複数の選択肢について、絶対目標の合否判定、および、希望目標の達成度を数値比較
・マイナスの影響も考慮し、最終的選択肢を選ぶ
適切な目標の設定をすると予期しない選択肢の評価が高くなったりする(運転手のための快適な待ち合わせ場所 vs 運転手へのリベート)
決定プロセスを見える化、数値化できるため、チームメンバー間で判断を共有できる点が良いところ。ただ、「マイナス影響の考慮」で判断がひっくり返ってしまう場合があるという記述もあり、恣意的であるとも感じた。
③潜在的問題分析:将来どんなことが起こりそうか
・危険な領域の確認→悪影響を与えそうな潜在的な問題の確認
・予防対策の確認→予防対策が機能しない場合のための緊急時用対策
将来をできるだけコントロールする。
④状況分析:何が起こっているか
・「影響度」、「時間的緊急性」、「影響拡大の可能性」の視点から重要性を選ぶ
出版年が1985年と古く読みにくさを感じるので減点。
ケーススタディが多く、方法論だけでなく、具体的な適用のイメージを抱くことができた点は良かった。
個人的な評価:★★☆☆☆(2.0)