はじめて読む人のローマ史1200年

 

書名:はじめて読む人のローマ史1200年

著者:本村凌二

 

ローマ人の物語』など話題になっているにも関わらず、世界史に疎いため、手っ取り早くローマ帝国に関する知識を得たいと思い手に取った。

 

●経済面

・十八世紀までの人類史のなかで、ローマの五賢帝時代(二世紀)の自由民の所得が一番高かった。

・商業 蔑視 はローマに限ったものではなく、前近代を通じて言える価値観です。商業は、他人が作ったものを右から左に動かすだけで利ざやを得る 卑しい行為、というのが当時の考え方でした。

・ローマのような奴隷制社会では、かなりきつい労働でも奴隷にやらせるので、もっと楽にできる方法はないか、もっと効率が良くならないかといった改良や工夫、新たな道具の発明が起きにくくなる。

⇒ 価値=モノの呪縛から離れ、サービスに価値を見ると、商業の価値が見える。

⇒ 楽を覚えると成長しない、苦労してこそ成長できる。

 

●文化面

・最終的には自分が子孫から「父祖の遺風」として重んじられるように生きる

・ローマ人の死生観を象徴しているのが、彼らが 墓碑に刻んだ言葉です。 「われわれは 無 である。考えてもごらん。これを目にする人よ、われわれ人間は何と 瞬くうちに、無から無へと回帰することか」  この言葉から、ローマ人にとって、死は「無に 帰す」こと、がわかります。 

⇒ 死後の世界を信じるのではなく、事績を後世に伝えることに価値をおいた。ローマ発展の礎は、高貴な「生き方」にあると感じた

 

●制度面

・万民法には「現地のやり方に従え」とあるだけです。

 ⇒ 統治コストと統制のバランス。何を与えて、何を与えないか? 

 

歴史的なできごとの記述だけだと興味が薄れてしまうところを、ローマ帝国を支えた、カルチャー、社会制度についての記述が充実しており、興味深く読むことができた。名前だけは知っている皇帝が、実際何をしたのかということも理解できてよかった。入門編という感じの書籍で深みはなかったので減点。

 

五賢帝の別名のくだりが、最近のキン肉マンっぽい・・・。

 

個人的な評価:★★☆☆☆(2.0)