中学生にもわかる化学史

書名:中学生にもわかる化学史

著者:左巻健男

 

大学生になったばかりの教養課程の授業で科学史/科学哲学の授業が非常に面白かった。歴史的な発展の過程を知ることは、ある分野の理解を深めるのに役立つという実感がある。専門が化学ということもあり、手に取ってみようと思った。

 

■新しく知った知識/視点(書籍本文の引用/一部編集)

・化学は、物質の「構造」と「性質」、および「化学反応」の3つを研究

・スクールの語源スコラは「暇、余った時間」という意味。

・(アレクサンドロス大王の時代?)に知られていた元素は、7つの金属元素、金、銀、銅、鉄、スズ、鉛、水銀、非金属元素では炭素と硫黄。エジプト人はさまよえる星が太陽、月、金星、火星、土星、木製、水星と7つあり、既に知られていた7つの金属を結びつけた。

 

〇科学者としての側面、そして生き様

ニュートン:最後の錬金術

パスカル:圧力の単位、考える葦

・ボイル:実験結果を失敗も含めて報告、実験重視の姿勢、近代化学の祖

・キャベンディッシュ:神経質で内気でとくに女嫌い

ラボアジェ:徴税請負人、ギロチンで処刑

・ドルトン:時間が惜しくて教員を辞め、一生独身。自身の色覚異常も研究対象

・ファラデー:製本工、デービーの講演記録の製本で認められる。電気化学の祖

・ケクレ:リービッヒの講演に魅了され、建築学科を辞め化学科へ。結合手

長岡半太郎:水銀還金実験。水銀から陽子1個を除去する

・ダイナマイト:永遠に戦争が起きないようにするために、

        驚異的な抑止力を持った物質か機械を発明したい。

 

〇実験の工夫

・酸素の発見:プリーストリ

 水銀灰を凸レンズで加熱して酸素を分離

・地球の質量の測定→万有引力定数の算出:キャベンディッシュ

 730gの鉛球と160kgの鉛球の間に働く引力を測定

・ナトリウム、カリウムの発見:デービー

 250枚の金属板を使った電池で加熱溶融した水酸化物を電気分解

 

 

 ■感想

”中学生にわかる”というタイトルから、化学の歴史は良く知らないという読者には、発見の歴史が分かったり、先人の創意/ブレイクスルー思考が分かる良い書籍。科学者の人間としての側面が知れた点は良かった。化学の歴史をある程度知っている私にとっては、語り口が易しすぎることもあり、満足度が低かった。

 

個人的な評価:★☆☆☆☆(1.0)