傾聴のコツ―――話を「否定せず、遮らず、拒まず」

書名:傾聴のコツ―――話を「否定せず、遮らず、拒まず」

著者:金田諦應

 

普段、自分ばかり話して人の話を聞いていないという自覚がある。自分でも変えたいと思っていながら、なかなか、変えることができないため、タイトルを見て手に取ってみた。

 

■新しく知った知識/視点(書籍本文の引用/一部編集)

・あなたが大事な友を得ようと思うならば、相手の話をしっかり聴かなければならない、ということです。自分の話ばかり聴いてもらって、相手の話には耳を傾けないという態度では、その人と深い人間関係を築くことなどできません。あるときは聴いてもらい、あるときは聴いてあげてこそ、本当の友情が芽生えるはずです。

・「わかるよ」ではなく、「伝わったよ」と言う。「わかるよ」というと、「いや、この気持ちは誰にもわからないよ」と思う

・悲しみはどうしてもあります。これが「慈悲」の「悲」です。 しかし、それでもかかわっていかざるを得ないという切なる気持ち。それが「慈」なのです。 悲しみ、苦しみに共感し、その場に踏み止まる姿勢が「慈悲」です。

・男性同士のコミュニケーションでよく出てくるのは「なるほど」で、女性同士では「わかる〜」なのだといっていました。つまり、男性は相手に「理解」を求めるコミュニケーションをしようとするのに対して、女性は相手に「共感」を求めるコミュニケーションをしようとする

 ・相手の話を「全肯定」するときに、聴く側は「自己否定」をすることが必要です。 人はみな自分がこれまで積み重ねてきた知識や経験があります。それが自分のフレームをつくっているのですが、その枠におさまらない人がいると、その人を拒絶しようとしてしまいがちです。

・「傾聴」でいうところの「自己否定」は、「自己向上」のためのものです。自分のフレームをなくしてしまうことではありません。 相手の話を聴いていて、自分のフレームにおさまらないものが出てきたとき、そのフレームをもう少し広げたり、ずらしたり、柔軟に変形させたりすることです。自分のフレームを自由自在にコントロールすることが大切です。

・自分のフレームを壊すには、 「自分が思っていたことは間違っていたかもしれない」 「こういう考え方もあるのだな」 と、自分を疑い、相手を尊重する姿勢が必要です。常に「対等」な目線で接していなければなりません。

・黙って話を聴いてくれる営業マンはお客の信頼を集めます。商品知識などは二の次ではないでしょうか。自分が売りたいものを売りつけようという営業マンは、お客の話であってもまともに聴こうとはしません。

・自分の価値観を「上書き」していくことです。「別名保存」ではなく、「上書き」ですから、もう元には戻せません。だから、上書きするのは勇気が必要です。 仕事でも、上司は自分の価値観を上書きしていく勇気を持つべきです。その場に留まるのではなく、新しい価値観を得て、新しい自分に成長していくことが必要です。

・自分の価値観や思い込み、筋書きを捨てること、そうした執着を解き放っていくことを、仏教の言葉で「 放下 着」といいます。 会社の仲間に対して、「こうしてほしい」「ああなってほしい」という執着を放下して、一人の人間として尊重することです。  

  

 ■感想

自分の価値観/フレームをアップデートすることで、聞く耳を持ち、自分を成長させるというメッセージは良く伝わった。宗教家で、震災の被害者との対話活動をされてきた著者ということもあり、喪失に対してどう向き合うかというご経験を元にした著作だったため、ビジネス面で役立てたいという私の目的とは少しずれていたように思う。

 

個人的な評価:★☆☆☆☆(1.0)