バッテリーウォーズ 次世代電池開発競争の最前線

書名:バッテリーウォーズ 次世代電池開発競争の最前線

著者:スティーヴ・レヴィン

訳者:田沢恭子

 

個人的に電池の技術開発状況に興味があり読みました。

 

特に、第一部のアルゴンヌ国立研究所を中心としたNMC材料開発に関わる話が面白いと感じました。

 

電池事業のないアメリカにおいて、研究開発の成果を収益化する手段としての特許果たす役割の重要性が良く理解できた。

 

特に、2社のみにライセンスし欠乏状態を作る戦略や、国際特許が無いにも関わらずライセンスに打って出る戦略が興味深かった。(後者は、米国市場でEV事業を行うGMに電池を供給している韓国LGへのライセンスに繋がった。)

 

第二部、第三部では、研究者が対象にしている技術の実市場での価値を評価するための仕組み(batpacのことか?)の話が印象に残った。

 

技術ができても市場で価値が無いということは良くある話で、研究開発初期において技術価値を正当に評価することの重要性を認識させてくれました。

 

ただ、第二部、第三部については、国家プロジェクトに採択されるための苦労は理解できたが、それがどういう成果を生み出したか?については語られなかったし、ベンチャーの躍動感を感じることはできたものの、最終的には結局はペテン扱いになっており、消化不良感が残った。やっぱり、成功譚の方が読後感が良い。

 

個人的な評価:★★☆☆☆(4.0)